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イラストレーターみやびの漫画館 作品集 - 月の高いところのロゴマーク

第三話 下手な嘘 - FINAL FANTASY DARK CRYSTAL

ガサ...  カールは、そのかすかな音に敏感に反応した。風の音として聞き流せるほどの微量な音。だがカールは聞き逃さず、とっさに構えをとった。彼の鍛え抜かれた感覚は、その音が人間の足音であると訴えた。  カールはさらに感覚を研ぎ澄ました。一、二...五、否八人はいる。広場の円周上に完全に囲まれている。何が目的か、また何者なのか見当もつかない者共だが、友好的ではないことは確かである。彼は、意を決して、その得体の知れない者共に対して、大胆な行動に出た。 「ふん、隠れてないでさっさと出てこいよ、この女に用があんだろ?」 「!」  囲んでいる者達は小声で口々に連絡しだした。 「バズスエルデ、ぐルミス...」 「ジスバ、るデエンデ...」  小声でよく聞き取れないが、あまりよく使われない言語のようだ。 『ウィンダス語...?』  カールはその言語に聞き覚えがあった。  ほどなくして、声の主らが茂みから出てきた。カールの予想通り、その数は八人であった。全員毛むくじゃらのアルエルタ族で、鎧を着、広刃の剣を下げた戦士、ローブを纏い、杖を携えた魔導師など、どうあがいても一般市民ではない。話の通じるような相手ではないのは明白である。お上の命で動く国営騎士団であろう。  両者は、何十秒かだろうか無言の睨み合いが続いた。 「ゴキゲンヨウ、旅ノ方。アナタノ言ウ通リデスヨ。」  騎士団の中でも一番高級そうな制服をきたものが、えらくカタコトのサンドリア語で話してきた。 「ソコニ気持チヨサソウニシテイル女二用ガアッテネ。」  カールはちらっと、女の子を見やった。その顔は少々青ざめている。さしものミルラの泉といえど、体は冷え切っていたのであろう。お世辞にも気持ちよさそうには見えない。  向き直ったカールに、ウィンダス兵はなお言葉を続けた。 「オトナシクソコヲドケテクレレバ、何モシナイヨ旅ノ方。」 「何もしない、ねぇ...。」  カールは皮肉って言葉を返した。  この状況でおとなしくしていれば何もしない、とはいささか信じがたい。  ましてや、カールにおとなしく下がろうなどという気は、毛ほどもなかった。 「まず一点、俺は旅人じゃない。そして、ここをどく気はない。」  ウィンダス高級兵はローブの中で目を細めた。 「ホウ...。ナンデカナ、アナタノ知リ合イナノカナ?ソノ女ハ。」  腹の探り合いか。両者は一歩も引く気がないようだ。 「だとしたら?」 「ナオノコト、退イタトシテモ、光ノチリ二シテクレヨウ。」  カールはこうなることは最初からわかっていた。  この物々しい連中が"おとなしく"引き下がるわけがない。両者一歩も引く気がないのであれば、それは、戦うしかない。  ウィンダス兵達は各々の武器を構えた。  カールは、駆け出した。ウィンダス兵魔導師は、魔法の詠唱を始める。  ヒュッ!  トン! カコッ! 「!?」  と、カールは走りながら、小石を拾い、ウィンダス兵の一人に投げつけた。石は、ウィンダス兵に当たった後、近くにあった木、その近くのもう一人の兵士に反射して当たった。  兵士二人は、戦闘中に奇妙な行動をする敵に、一瞬戸惑うが、すぐに気を取りなおし、カールへと向きなおる。が、そこにすでにカールの姿はなく...。  ズバッ! バキィ! ズバン!!  次の瞬間、兵士二人は、体が切り裂かれ、倒れ伏した。周りで見ていた兵士たちも、何が起こったか判別がつかなかった。  カールは、先ほどの二人目の兵士の近くにいた。広場から駆け出し、石を投げつけたあといつのまにそこに着いたというのか。  他の兵士は、動揺を隠せなかったが、カールの姿を認めるや否や、各々の攻撃を一斉に浴びせにかかる。  しかし、カールは、目の前の敵から、効率よく斬り伏せていく。見惚れるほど華麗なその姿は、まるで舞でも踊っているような様相であった。  高級兵士は、攻撃を繰り出しようにも、手が出せず、兵士たちは次々と倒れていった。  ほどなくして、ついには見方は全て倒れ、高級兵士一人となってしまった。  得体の知れないこの青年に恐れをなし、高級兵士は後ずさりする。 「ひぃっ...!」  カールは返り血で汚れた顔を、高級兵士に向けた。その目は穏やかであった。この惨状の中、鬼の形相をすべき者が、平静な顔をしている。このギャップが、高級兵士の恐怖をより募らせた。高級兵士は、いてもたってもいられなく、その場から逃げ出した。 「!?」  しかし、走り出したその先に、カールがいた。さっきまで、死体の山の近くにいたというのに、五メートルほどの距離を、一瞬で先回りしたのだ。到底足が速いとかそういうレベルではない。高級兵士は、視界の端に、一番最初に倒された兵士の近くにある木を見た。幹には、いつの間についたのか、刃物でえぐられたような跡があった。それを見やった高級兵士は、悟ったように言った。 「ソ、ソウカ、ワカッタゾ、聞イタ事ガアル。」  高級兵は、カールを見上げ、続けた。 「ストリームソルジャー。事象二残ルストリーム二沿ッテ高速移動ヲスル事ガ出来ル、光速ノ戦士...。マサカ貴様ガ...!? シカシ、ソノ技ヲ使エルノハカノ暁ノ...。」  ズバッ!!!!  高級兵士がそこまで言うや否や、カールは無情にも高級兵士の喉元を掻っ切った。 「...俺が何者か、か。そんなもの俺が一番知りたいね...。」  カールは、死体の山の中でもの寂しそうに言った。  兵士達から放たれた幻光虫は、ミルラの泉へと、吸い込まれるように飛んでいく。  カールは、体に降りかかった血を出来るだけ拭い、女の子を抱き上げ、その場を後にした。 "; bodyExchange($beforeBodyInner); ?>